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国立がんセンターに行ったので、癌(ガン)の語源!
 今日、国立がんセンターに行った。僕の身体のためではない。妻が2年前に乳がんの手術を受けていて、その後定期検査を行っている。僕は、診察室から出て来た妻から、「大丈夫ですよ! それでは3ヵ月後って、言われた」という言葉をすぐに聞きたいがためである。
 そこで、今日は、癌(ガン)、英語のcancer (キャンサー)の語源について調べてみた・・・
 ことがことだけに、 言葉の持つ意味が非常に重いがゆえに、いい加減なことは書けない。参考文献も選び抜いた。
 その一冊のタイトルは、『医学用語の起り』(東京書籍)。著者は小川鼎三(おがわていぞう)という人で、東京大学医学部を卒業し、東京大学名誉教授、順天堂大学客員教授、日本医史学会理事長、日本学士院会員という肩書きを持っている。1901年(明治三十四年)生まれ。
 その著書の「癌」には、冒頭、こうある。
「癌という字はふつうの漢字みたいにみえるが、じっさいは国字すなわち日本製の文字らしいのである。差し当たり有名な康熙字典(一七一六)を繰ってもこの字はみあたらない」
 しかし、その意見に対しては、『世界大百科事典』(平凡社)がこう記している。
「<癌>という字は、清代の有名な≪康熙字典≫(1716)には出ていないので、和製漢字といわれていた。しかし明らかに中国製で、12世紀に書かれた≪衛済宝書≫には<癌>という字がみられ、また中野操の研究によると、南宋の楊士エイの≪仁斎直指方≫(1264)に<癌>の字と症状についての記載がなされているという」
 これに関し、インターネットの「語源由来辞典」にはこう書いてある。
「江戸時代の医学書に「乳岩」でみられることから、「岩」の漢字音が語源であると考えられる。「ガンを「岩」としたのは、触ると固いしこりがあるところからと思われる。漢字の「癌」も、「岩」の異字体「

」に病垂れからなる文字である」
 この「」という字は、「ガン」と読み、「巌(ガン・いわお)=岩山」という意味で、「厳(ゲン)=きびしい」という意味も持っている。 年末、TBSが放映した「JIN ー仁ー」には、「岩(ガン)」が使われていたというから、この「語源由来辞典」の影響をうけたが、「」という字が難しいため、「岩(ガン)」という字を使ったようだ・・・
『医学用語の起り』に戻ると、それを証明するように、こんなことが書いてあった・・・
「癌の字を創作した日本人(?)は漢字の素養が深くて、またずいぶんとよく考えたものだとおもう。それが誰であるかについて大阪の中野操博士は、『和漢三才図会』の著書として知られている寺島良安が享保七年(一七二二)に書いた『済生宝』五巻の中に乳癌とあるので、もしかしたら彼の新造字であるまいかという(「大阪医学風土記」第二八ページ)。
 そして、小川鼎三は「癌」という項の最後にこう補足している・・・
「ところが近ごろ大阪の中野操博士はこの問題について発表され、「癌」はやはり中国製の漢字であることを確かめ得たといわれる。南宋の時代にできた『仁斎直指方』(一二六四)にこの漢字が載っているらしいが、中野博士はまだその本を見ていないという。しかし朝鮮の李朝初期の『郷薬集成方』(一四三三)、中国の明代の『仁斎直指附遣方論』(一五五〇)、同じく明代の『医学入門』(一五七五)に癌の字があることを中野博士は確かめたという。この問題についての大進歩である。同時に「癌」は国字かという私どもの夢は消えた」
 小川鼎三(おがわていぞう)が『医学用語の起り』を書いたのは1983年であり、平凡社の『世界大百科事典』が出版されたのは1988年であるから、後者の記述は、前者から取ったことがわかる。

(続く)  続きは、「cancer (キャンサー)の語源」です!

author:ぷるの飼い主, category:S_Science(科学の語源事典), 15:07
comments(2), -, pookmark
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author:スポンサードリンク, category:-, 15:07
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Comment
ぷるの飼い主様
癌の語源をしらべておりましたらこのグログにであいました。大変分かりやすく書かれていたものですからURLを記載させていただきました。勝手に申し訳ありません
さっちゃん, 2017/02/18 4:26 PM
管理者の承認待ちコメントです。
-, 2010/01/06 7:30 PM